「新宿区神楽坂 第3回」江戸の情緒や文化を継承し、フランスのエスプリも漂う魅惑のスポット
由緒があり、パリの趣きがある、表情豊かな街並<街並>
飯田橋駅から外豪を渡ると、そこは神楽坂下の入口。ここから神楽坂のメインストリートが始まります。かつて武家屋敷が並んでいた通り沿いも、現在は、老舗の漆器、陶器、履物、足袋といった店舗、文豪たちが愛した文具店、アカデミックな香りが漂う古書店、個性豊かなアパレルショップや飲食店などが点在。
スーパーマーケットまでも揃っているため、毎日の買い物にも不自由はありません。そんな便利さも備えながらも、街のそこかしこには粋な雰囲気が漂い、界隈を闊歩するだけでも、お洒落な気分に浸ることができます。
そして横丁へと足を踏み入れれば、そこには花街の面影が。石畳の小路にて、三味線の音色や芸者衆の姿に巡り会うこともあるでしょう。近くにはお屋敷街や矢来能楽堂もあり、守られてきた伝統や文化が今なお息づいているのを感じることができます。
そうした江戸からの情緒を感じさせる一方で、神楽坂の街並はフランス・パリに似ているという特徴があります。石畳の路地や小さいながらもセンスのあるカフェなど、洗練された雰囲気がパリを彷彿とし、小さなパリとして親しまれています。
こうした街の雰囲気を形成した背景には、江戸の頃からいくつもの教会や修道院が界隈に点在していたことや、坂のある街並がフランスに似ていたことなど、古くからフランス人に愛されてきた歴史があるためだと言えるでしょう。フランス文化の発信拠点である「アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)」が近くにあり、フランス人家族が周囲に暮らしていたことも、神楽坂とフランスの関係を深める要因となったようです。
神楽坂には、由緒ある社寺も多くあります。中でも神楽坂の象徴ともいえる「毘沙門天善國寺」は、江戸時代より「神楽坂の毘沙門さま」として信仰を集めていました。江戸時代に江戸大社の一つとされていた、700年の歴史を誇る「赤城神社」は、2010年に大幅にリニューアルされ、2013年には神社でありながらグッドデザイン賞を受賞。日本一お洒落な神社としても知られています。
美しき自然も忘れてはいけません。坂下の外豪には桜並木が並び、水辺に浮かび上がる満開の桜が幻想的な美しさで人々を魅了します。
個性的な店舗や、ミシュランで星を獲得した店舗なども多い神楽坂。近年では、新たな商業施設「ラカグ(la kagu)」がオープンするなど、ますますお洒落になったと評判の街に、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。